■森田研発「世界初!」原子埋め込み文字 (Atom
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日本語訳
・日本の研究チーム、室温環境下における自由な原子操作に成功
日本の研究チームが、室温環境下において表面に埋め込まれた個々の原子を動かすことに成功した。これはまさにナノテクノロジーの分野が一歩、産業への実用化に近づいたといえる。大阪大学の研究チームのメンバーであるオスカル・クスタンセ氏によると、走査型トンネル顕微鏡を使って1990年には水平方向、1991年には垂直方向での原子操作に成功していたが、いずれも-269℃の極低温条件下で達成されたものであり、そのため工学的応用範囲が複雑になっていた。2年前にAFM(原子間力顕微鏡)を用いての垂直操作、つまり原子を持ち上げて、再び同じ場所に戻す操作には成功していたが、室温下で、自由に原子を動かせるほどの、表面での水平原子操作を行うにはまだ至っていなかった。
大阪大学の研究者たちは、室温下における自由な原子操作に成功しただけではなく、1990年に走査型トンネル顕微鏡を用いて、極低温下で35個のXe(キセノン)原子を動かして‘IBM’の文字を描きだしたグループの実験成果を参考に、ゲルマニウム(Ge)表面上にスズ(Sn)原子を蒸着して、‘Sn’の文字を作成することにも成功を収めた。9時間かけて120回もの原子操作を必要とした実験の結果、生み出された成果である。
「室温において自由な原子操作が可能であったことを示し、そしてさらに重要性を持つことだが、これらの操作によって作り出された構造は、少なくとも一日の間安定した状態に保たれる。これは、ナノテクノロジーの分野で研究している世界中の科学者たちの間では非常に画期的なニュースとなった。」と、オスカル・クスタンセ氏は強調する。「この実験に基づいて、次なる技術戦略を打ち出し、実際の技術への応用へと発展させることが可能になる。」
Nature Materials誌上でも紹介されたように、今回動かすことに成功した原子はすべて直径0.1ナノメートル(1オングストローム)をわずかに超えるサイズ、すなわちミリメートルの1千万分の1に相当するほど小さいものである。これほど微小な原子を見て動かすことは、超高真空の状態で、顕微鏡の先端を操作したい原子にかぎりなく近づけることによってはじめて可能となる。
走査型トンネル顕微鏡では、原子操作のために、探針―試料間を流れている電流を使用しなければならず、そのため導電性基板でしか実験できなかった。それに対して、大阪大学で使用されているAFMは電流を必要とせず、単に探針先端の原子を、動かしたい原子に近づけるときに生じる化学結合作用力(原子間力)を利用している。原子間力を利用し、導電性試料でも絶縁体でも使用可能であるAFMは、将来、ナノテクノロジー分野産業における利用価値がいっそう期待されるといえよう。
クスタンセ氏は次のようにコメントしている。「このような複雑な実験操作を考えるために、たとえばバルセロナのサグラダ・ファミリア大聖堂の、そびえたつ先のとがった塔のひとつを巨大なクレーンでつりあげて逆さまにしてみることを想像してください。そして、次に非常に薄い磁器のお皿にいくつかのクミンの実がのっていると仮定してみてください。AFMで原子を操作して‘Sn’の文字を描いたことは、逆さにした塔のとがった頂点を使って、磁器のお皿を割らずに、クミンの実を動かして文字を組み立てるようなことと考えられるでしょう。」
この実験はスペインのナノテック社が展開するダルシネアという装置がなければ可能でなかったといえるであろう。クスタンセ氏は次のようにコメントしている。「標準的なレベルの装置であれば単なる原子操作は行えるかもしれないが、120回もの原子操作を9時間で行うことは、4.5分に一度原子操作を行わなければならない計算になり、まったくの偉業である。」「ダルシネアがわれわれにもたらす柔軟性がなければ、9時間という時間は2倍、3倍になり、この研究結果は出せなかったであろう」とクスタンセ氏は強調する。
この研究成果をステップにして、大阪大学の研究者チームでは、絶縁表面上での水平原子操作への新たなる挑戦が始まっている。これは、ナノテクノロジーの極限という点で、エレクトロニクスの小型化の最終段階であるが、もう達成できるところまできていると確信する。
(一部抜粋)
訳 宮武
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